2024/7/30
古都奈良を代表する景観として知られる、人気の観光スポット「猿沢池」。
周囲約360mの小さな池のほとりに、鳥居を背にした珍しい社があります。春日大社の末社である、采女神社(うねめじんじゃ)です。
ここでは毎年中秋の名月の日に、例祭「采女祭」(うねめまつり)が行われます。
采女とは、宮中で天皇・皇后に仕え、身の回りの世話をした女官のこと。
平安時代の10世紀中頃に成立した歌物語『大和物語』には、采女にまつわるこんな物語が記されています。
「奈良時代、帝に仕えていたとても美しい采女がいた。ある時、帝からのお召しがあったが、やがて寵愛が衰えたことを嘆き、猿沢の池に身を投げてしまった。それを聞いてかわいそうに思った帝は、人々に歌を詠ませた」
後に、入水した采女の霊を慰めるために社が建てられましたが、采女は我が身を投じた池を見るに忍びなく、一夜のうちに社を後ろ向きにしたという伝説も残されています。
中秋の名月の夜、采女神社では、采女の霊を鎮め人々の幸せを祈る例祭が催されます。これが「采女祭(うねめまつり)」です。
宵宮祭:9/28(木)17:00~
例祭: 9/29(金)
花扇奉納行列 17:00~
例祭 18:00~
特別公演 うた語り「采女ものがたり」18:45頃~
<うた語り:中橋玲子 笛:又吉奈緒子>
管絃船の儀 19:00~
同時開催!お月見スイーツ×采女祭
2023/7/27(水)~7/29(木)の3日間、お月見にちなんだスイーツを提供する奈良市内商店街周辺のお菓子店とコラボレート!特別企画「お月見スイーツ×采女祭」を実施します。詳細は9月上旬に公開予定です。
午後5時、時代衣装をまとって市内を練り歩く「花扇奉納(はなおうぎほうのう)行列」から祭りは始まります。
秋の七草で美しく飾られた2mあまりの花扇を取り囲み、御所車に乗った十二単姿の花扇使や天平衣装をまとった人々が華やかに市内を練り歩きます。
午後6時からは、采女神社で春日大社の神職による厳かな「花扇奉納神事」が行われます。
また、2023年は特別公演として、午後6時45分頃から約15分間、うた語り「采女ものがたり」が猿沢池周辺で行われます。美しい笛の調べとともに、采女の伝説について語られます。
午後7時からは、いよいよこの行事のクライマックスを迎えます。
祭りの様子をひと目みようと、多くの人が猿沢池の淵をぐるりと取り囲むように並びます。
南都楽所(なんとがくそ)による雅楽が響き渡る中、2隻の管絃船(龍頭鷁首・りゅうとうげきしゅ)が猿沢池を巡ります。
花扇をはじめ、花扇使や福島県郡山市のミスうねめ(※)、NARA CITYコンシェルジュを乗せた船は、池に浮かぶ流し灯籠の間をぬってゆっくりと進みます。
最後に花扇を池に投じ、采女の霊が鎮まることを祈ります。月夜に浮かぶ管絃船や、天平衣裳に身を包んだ人々の様子は雅やかで幻想的です。
—memo.—
※福島県郡山市でも采女伝説が残っており、毎年8月上旬に「郡山うねめまつり」が開催されています。
市内大通りでは、大勢の浴衣姿の市民による「うねめ踊り流し」が繰り広げられるなど、盛大に行われます。
郡山市、奈良市ともに采女伝説が伝わることから、両市は昭和46年に姉妹都市提携を結び、現在も交流を深めています。
また、采女神社では「糸占い」が授与されます。年に一度、采女神社でこの日にだけ授与される糸占いは、神社の前で中秋の名月の月明かりで縫針に赤糸を通せば、願いが叶うと伝えられています。
悲恋の伝説が始まりではありますが、今は人々の幸せを願うお祭りとして大切に受け継がれる「采女祭」。中秋の名月の日に、ぜひ行ってみてはいかが?
お稚児さん募集
時代衣装をまとって市内を練り歩く「花扇奉納行列」にお稚児さんとしてお子様もご参加いただけます!
募集期間:2023/8/1(火)~9/19(火)
参加費用:1名様 5,000円
対象年齢:3歳~小学3年生
申込先:奈良市総合観光案内所(奈良市三条本町1082)
※直接現地で代金をお支払いいただき、お申し込み受付とさせていただきます。
お問い合わせ:0742-30-0230(奈良市観光協会 平日9:00~17:00)
天平衣装を着て采女祭に参加してみませんか?
天平衣装に身を包んで、花扇奉納行列にご参加いただけます!行列参加前には猿沢池、采女神社などにもガイド付きで巡れるので、旅気分も楽しめます。
詳しくは体験プラン「天平衣装を着て采女祭に参加しよう!」をご覧ください▶
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