2024/10/17
「春日若宮おん祭」は、春日大社の摂社である春日若宮の例祭です。
平安末期の保延2年(1136年)、時の関白・藤原忠通(ただみち)が天下泰平、五穀豊穣、万民和楽を願って執り行ったのが始まりと言われ、900年近く一度も途切れることなく行われています。
おん祭は7月からさまざまな祭礼が始まり、12月15日から18日にかけて中心神事が執り行われます。
12月15日は、JR奈良駅から大宿所詣の行列が三条通りを練り歩き、地元各商店街や祭りに参加する大和士(やまとざむらい)、一般参拝者のための「御湯立(みゆたて)」、さらに午後5時からはおん祭の無事執行を祈願する「大宿所祭」が行われます。
12月16日は、17日0時に行われる「遷幸(せんこう)の儀」に先立ち、春日大社や春日若宮では大和士による宵宮詣や田楽座による宵宮詣が、午後4時からは祭典の無事を祈る宵宮祭が執り行われます。
12月17日はおん祭で最も多くの祭事が行われる日で、見どころも満載です!
午前0時からは本殿のご祭神、若宮神を御旅所の御仮殿へと深夜にお遷しする「遷幸の儀」が始まります。参道は全ての灯りを滅し、参列者も写真はおろか足元を照らすことすら許されません。
全員が「ヲーヲー」と警蹕(けいひつ※声をかけて周りをいましめ、先払いをすること)の声を発し、楽人たちが邪気を払う慶雲楽(きょううんらく)を奏でてお供する、厳粛な行事です。
春日若宮おん祭の様子を近くで見られる!お渡り式とは?
続く暁祭、本殿祭の後、正午からはおん祭で最も華やかな行事の一つである「お渡り式(おわたりしき)」が行われます。
奈良県庁前から若宮神のおわす御旅所に向かって、意匠を凝らした芸能集団や祭礼に関わる人々の行列が市中を練り歩きます。
行列は馬50頭、奉仕者1,000名にもおよび、平安時代から江戸時代にかけてのさまざまな時代の風俗が一堂に会する様子は圧巻です。
奈良県庁前を出発したお渡りの一行は、春日大社一之鳥居を入ってすぐの「影向(ようごう)の松」の前で芸能を披露する「松の下式」を行い、御旅所に練り込みます。
午後2時半からは国の平安を祈願する「御旅所祭」が厳粛に行われ、午後3時半からは神楽・東遊・田楽・細男・猿楽(能楽)・舞楽など、午後11時ごろまで様々な芸能が奉納されます。
厳寒の中奉納される芸能の数々は神秘的で、大変貴重なものばかりです。
翌18日には「奉納相撲」と「後宴能」が行われ、お祭りはフィナーレを迎えます。
17日の「お渡り式」および奉納される神事芸能は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
奈良の1年を締めくくる伝統行事「春日若宮おん祭」にぜひお越しください。
【第889回 春日若宮おん祭 特別桟敷席のご案内】
「春日若宮おん祭」奈良を代表するお祭りとして知られ、「お渡り式」をはじめとする多くの神事が執り行われます。毎年多くの人々が集まるこのお祭りをより多くの皆様にご観賞いただくため、 特別桟敷席を設置します。
日程/令和6年12月17日(火)
予約受付期間/2024年10月17日(木)13:00~12月13日(金)17:30
問い合わせ・予約/0742-30-0230(奈良市観光協会 平日9:00~17:30)
令和6年度のお席などの情報はこちら
1. 登大路園地桟敷席(県庁前)
「お渡り式」の各行列が出発に際して、春日大社神職の観閲を受ける 「試しの儀」 を解説(放送)付きでゆっくりご覧いただきます。
観覧時間/11:30頃~13:00頃
料金/2,000円(簡易カイロ付)
2.松の下式桟敷席(春日大社参道・一之鳥居横)
街中を練り歩いてきた 「お渡り式」の一行が、「影向の松」の前で田楽・猿楽などの芸能を披露する 「松の下式」を解説(放送)付きでゆっくりご覧いただけます。
かつては奈良奉行が徳川将軍名代として観閲した伝統ある式です。
観覧時間/13:00頃~14:30頃
料金/4,500円 (参道北席・南席)(おん祭解説書、簡易カイロ付)
3.お旅所前桟敷席(春日大社参道・奈良国博南)
「松の下式」を終えた一行が、お旅所の芝舞台で様々な伝統芸能を若宮様に奉納します。
観覧時間/13:00頃~22:30頃(出入り自由)
料金/10,000円(おん祭解説書、簡易カイロ、オリジナルブランケット、音声ガイド無料貸与付)