佐保路
NARA CITY
SAHOJI



左:不退寺 聖観音菩薩立像(部分)右上、右下:くるみの木
佐保路とは
AREA
東大寺転害門から平城宮跡へ延びる一条通りは、かつての平城京「一条南大路」。奈良時代には高級貴族の邸宅や別荘が広がっていたこのあたりは「佐保路」と呼ばれています。現在は古刹や素敵なカフェなどが点在するこのエリアから、法華寺など佐保路の寺院や、船橋通り商店街周辺を中心に紹介します。

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佐保路三観音として有名な法華寺、海龍王寺、不退寺、そしてこのエリアのシンボリックな存在である「くるみの木」。4つの佐保路の代表的なスポットを詳しく紹介します。佐保路の歴史と長閑な景色は、この地に暮らす人々が、手間を惜しまず守り育ててきたもの。そこには、静かだけれど確かに続いてきた暮らしと、数えきれないほどのストーリーが息づいています。インタビューなどを通して、その土地が歩んできた時間や人の想いを感じ取ってみてください。
法華寺
光明皇后の慈悲の心を今に伝える寺
奈良時代、仏教の力で病や貧困に苦しむ人々を救おうとした社会福祉事業の先駆者である光明皇后創建のお寺(正式名:法華滅罪之寺)。女性のための総国分尼寺として創建された格式ある尼門跡寺院です。その慈悲深い心は、皇后の姿を写したと伝わる本尊の国宝・十一面観音菩薩立像(春季と秋季など年3回特別公開)や、皇后が貧者や病者を沐浴させて救ったとされる境内の「浴室(からふろ)」などから今に伝わります。
施設概要
法華寺の見どころ

樋口門主と共に法華寺を守る渡邊執事長に、境内の見どころや先代の故・久我門跡との思い出などを教えていただきました。
見どころ01本堂
見どころ02浴室(からふろ)
見どころ03先代の思いがこもった華楽園(からくえん)
見どころ04その他境内
次の1000年も形を変えずそのまま…
(法華寺 門主/樋口教香さん)

樋口 教香(ひぐち・きょうこう)
1952年10月16日生まれ、兵庫県神戸市出身。1995年高野山尼僧修道院卒業。2000年4月法華寺入寺。2004年4月法華寺久我高照門跡より執事拝命。2007年4月法華寺久我高照門跡より副住職拝命。2011年11月先門跡遺言により住職拝命。2023年令和5年度の法華寺役員会にて門主拝命。
法華寺は、光明皇后の御心を今に伝え、「大和三門跡」として、中宮寺(斑鳩町)と圓照寺(奈良市)と共に皇室や摂家の姫君が代々門跡(住職)を務めてきた伝統と格式がある尼寺。歴史の荒波の中で荒廃と復興を繰り返し、第二次世界大戦後の荒廃から今のように境内を整え、一般に門戸を開いたのは、先代の故・久我高照(こがこうしょう)門跡でした。親しみと敬意を込めて「御前様」と呼ばれる久我門跡から受け継いできた覚悟や思い、法華寺のこれからについて樋口教香門主にうかがいました。
海龍王寺
山門と築地塀は佐保路の代表的な風景のひとつ
旅行や留学の安全祈願のお寺として親しまれている海龍王寺。山門と築地塀は佐保路を代表する風景のひとつです。もとは光明皇后が自身の皇后宮を寺院として整備し、唐から帰国した玄昉が初代住職に就いたことで「平城宮内道場」に定められたことに始まります。皇后宮の北東隅にあるため古くは「隅寺(すみでら)」とも呼ばれ、奈良時代から般若心経(隅寺心経)の写経が盛んに行われていました。現在でも、希望者は写経体験ができます(要予約)。本尊は十一面観音菩薩立像(重文)で特別開帳は春季と秋季など年3回。
施設概要
海龍王寺の見どころ

石川住職が海龍王寺の参拝時にぜひ、感じて欲しい、見て欲しいと思うポイントを教えてくれました。
見どころ01本堂(本尊)
見どころ02本堂(八十八体佛、陳列ケース)
見どころ03西金堂
イケ住が語るこれまでとこれからのこと
(海龍王寺 住職/石川重元さん)

石川 重元(いしかわ・じゅうげん)
1966年2月3日奈良県奈良市出身。1982年5月5日海龍王寺にて得度し、仏門へ。1991年6月3日海龍王寺の住職を拝命。関西SAVVY 2003年11月号「はじめまして奈良」にて、イラストレーターのみうらじゅんさんから「イケ住(イケてる住職)」と紹介された。
奈良時代、光明皇后が自身の皇后宮を「平城宮内道場」とした歴史を持つ海龍王寺ですが、歴史の荒波の中、長らく荒廃した時期がありました。昭和に入り、先代の松本重信住職(石川重元住職の祖父)が復興に尽力。現在は孫の石川重元住職が先代の思いを受け継いで、海龍王寺を守っています。イラストレーターのみうらじゅんさんから「イケ住(イケてる住職)」と称されるほど、常に前を向き、新しいことにチャレンジし続ける石川住職に海龍王寺のこれまでとこれからをうかがいました。
不退寺
平安歌人・業平ゆかりの花の寺
伊勢物語の主人公、百人一首歌などでも知られる平安時代の歌人・在原業平(ありわらのなりひら)が祖父・平城(へいぜい)天皇の「萱(かや)の御所」を受け継ぎ、寺院とした不退寺(別名:業平寺)。本尊の「聖観音菩薩立像」は、大正の初め頃までは、100年に一度しか御開帳されない秘仏(住持一世に一度開帳)でしたが、現在は、常時公開されています。業平椿だけでなくレンギョウなど、境内の庭には、大切に守られてきた種類豊富な草花や紅葉など、いつ訪れても四季折々の自然美が出迎えてくれます。
施設概要
不退寺の見どころ

現在、僧侶として不退寺に暮らす津賢さんに、本堂や境内など不退寺の見どころを案内していただきました。
見どころ01本堂
見どころ02業平を偲ぶゆかりのもの
見どころ03四季折々の花や自然が楽しめる境内
見どころ04重要文化財の建物など
母と子で守る不退寺
(不退寺 僧侶/藤木津賢さん、執事長/藤木惠永さん)

藤木 津賢(ふじき・しんけん)
1994年12月生まれ。奈良市で育つ。2019年大阪工業大学卒業後、種智院大学に編入して仏教を学ぶ。同大学内道場にて同年7月6日得度を受け、僧名(津賢・しんけん)をいただいて仏門へ入る。
藤木 惠永(ふじき・けいえい)
1963年12月生まれ。母の実家の京都市で生まれ奈良市で育つ。2022年7月10日西大寺にて得度し、僧名(惠永・けいえい)をいただいて仏門へ入る。
2024年5月、長年にわたり不退寺(真言律宗)を守り続けた松村圭淳(まつむら・けいじゅん)住職が92歳で亡くなられました。もともとは、藤木津賢(しんけん)さんの伯父(松村住職のご子息)の副住職が、その跡を継ぐ予定だったのですが、松村住職よりも先に亡くなられたため、先代の孫である津賢さんが継ぐことになりました。幼い頃から、境内を庭のようにして遊び、親しんでいたものの、自身が受け継ぐことになるとは思っていなかったそう。平安時代から続くお寺を受け継いでいくことについて、現在(2025年8月)、住職になるため修業中の津賢さんと不退寺の執事長として支える母の惠永(けいえい)さんに決意した経緯と率直な今の気持ちをうかがいました。
くるみの木
ライフスタイルショップの先駆け
オーナーの石村由起子さんが、奈良の線路沿いにたたずむ一軒の建物と出合い、1983年に始めた「くるみの木」。カフェをはじめ食料品、台所用品、食器などの生活道具から衣類、さらには学びの場まで。暮らしに関する“もの”や“こと”をひとまとめに眼差すライフスタイルショップの先駆けであり、日本各地から人が訪れます。
施設概要
「くるみの木」それぞれのお店

石村由起子さんが見つけた小さな場所から始まった「くるみの木」。当初はカフェスペースの中に夢や想いがたくさん詰まった商品たちが並んでいました。20代、30代、40代…と暮らしを重ねる中で、石村さんの想いがあふれ出るように広がり、それぞれが独立したお店として発展していきました。今ではカフェ、雑貨、服飾、グローサリーなどが同じ敷地に点在して、訪れる人を温かく迎えます。 それぞれのショップに込められた想いや考えに触れるために、ぜひ一度足を運んでみませんか。
見どころ01Cafe(カフェ)
見どころ02cage(カージュ)
見どころ03NOiX La Sœur(ノワ・ラ・スール)
見どころ04grocery(グローサリー)/pieni(ピエニ)35
目が喜び、心が育つ。祖母から受け継いだこと、まちへ受け継ぐもの
(くるみの木 オーナー/石村由起子さん)

石村 由起子(いしむら・ゆきこ)
香川県高松市生まれ。暮らしを楽しむ祖母の知恵にくるまれて育つ。学生時代には染織を学び、民芸に親しむ。1983年、奈良の郊外で出会った小さな建物でカフェと雑貨の店「くるみの木」を始め、現在は奈良を拠点に、日本各地で企業や地域の夢をかたちにする手伝いも行なっている。「うつわ」(青幻舎)、「あふれる日々を、ととのえる」(PHP研究所)など著書多数。
佐保路にある「くるみの木」。線路沿いの敷地では、庭の植物たちが迎えてくれます。のびのびと緑を伸ばし、実をつけるブルーベリーや胡桃の木。つい見とれていると、声が聞こえてきました。
「目が喜ぶと、心も喜ぶんです」
声の主は、オーナーの石村由起子さん。開店前の店内で、話をうかがいました。
start

近鉄
大和西大寺駅
奈良交通バス 12または14系統 (北口1番のりば発)
近鉄・JR奈良駅(西口)(航空自衛隊・法華寺)行きバス
約10分
法華寺 バス停
徒歩
約5分
- 01
法華寺
施設概要
徒歩
約5分
- 02
海龍王寺
施設概要
徒歩
約15分
- 03
不退寺
施設概要
徒歩
約5分
- 04
くるみの木
施設概要
不退寺口 バス停
奈良交通バス 12または14系統
近鉄・JR奈良駅(西口)行きバス
約10分
近鉄
奈良駅
バス
約5分
JR
奈良駅
Goal
主要駅から
佐保路エリアへのアクセス
ACCESS

| 奈良交通バス系統 | 主要駅から乗る場合の行き先 | 各施設の最寄りのバス停 |
|---|---|---|
| 12 | 【大和西大寺駅から乗る場合】「JR奈良駅西口」行き 【近鉄奈良駅・JR奈良駅から乗る場合】「大和西大寺駅」行き | 法華寺…「法華寺」 海龍王寺…「法華寺」 不退寺…「一条高校前(不退寺口)」 くるみの木…「一条高校前(不退寺口)」 |
| 14 |
徒歩・レンタサイクルでの散策もおすすめ
気候の良い季節などは、徒歩やレンタサイクルでのアクセスもおすすめです。近鉄・JR奈良駅からレトロな船橋通り商店街を通って佐保路エリアへ向かったり、近鉄新大宮駅から佐保川を越えて向かったり。平城宮跡を起点に散策するのもおすすめです。佐保路エリアの巡り方は様々、お好みに合わせてお出かけしてみてはいかがでしょうか?

ならりvol.38のP9-10では「佐保路さんぽMAP」を掲載中。徒歩・サイクリングにご利用ください。
ならり vol.38 ( PDF )自転車を使えば・・・
近鉄奈良駅付近から法華寺付近まで約12分、ウワナベ・コナベ古墳付近まで約15分
佐保路のグルメ・穴場
GOURMET・HIDDEN GEMS
佐保路のおすすめグルメなどを店舗リレー形式でご紹介。佐保路のメインストリートである一条通り沿いの有名店や老舗から、一歩通りを入った隠れ家的なスポットまで、地元のお店だからこそのおすすめセレクト。佐保路散策に合わせて、グルメ、ショッピングもぜひ、お楽しみください。

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佐保路の隠れ家珈琲店「珈琲豆蔵」
レトロな
船橋通り商店街さんぽ
STROLLING THE RETRO STREET
1969年までは近くに近鉄奈良線・油阪駅があり、多くの人でにぎわっていた船橋通り商店街。石畳の道や昔ながらの建物が、今も静かにその時代の面影を伝えています。通勤・観光客などが行き交う近鉄奈良駅周辺とはまた違い、この一角ではのんびりとした時間の流れが感じられるはず。昔ながらのパン屋さんやレトロな建物を活かしたカフェ、小さな本屋さんやおむすび屋さんなど新しいお店も街並みにやさしく溶け込んでいます。今、静かな“奈良の穴場”として、ゆっくりと注目を集めているこのエリアを、奈良で活躍する編集者、徳永祐巳子さんがご案内します。

案内する人
徳永 祐巳子(とくなが・ゆみこ)さん(編集者/amu)
1977年、奈良生まれ。17年間、奈良のタウン情報誌の編集に携わり、その後「まち・ひと・ことを編む」をコンセプトにフリー編集者として、まちづくりや奈良の魅力を発信し続けている。長い歴史とこれからの未来の中で、「今を楽しむ」ことに全力を注ぐ。奈良の空が好き。奈良のトビラ合同会社代表社員。NPO法人奈良好き人のつどい理事長。
※掲載の情報は2025年8月時点のものです。詳細は各施設・店舗にお問い合わせください ※写真はすべてイメージです。


































































































