2023/1/20
ならまちは、世界遺産・元興寺の旧境内地から、柳生街道へと続く高畑周辺までを指すエリア。
風情ある町屋が立ち並び、人気の街歩きスポットとして知られていますが、実は「お酒」と縁が深い場所もあります。
奈良・春日山を水源とした水が、山の麓のならまちへ地下水として流れていることから、旧町名で“清水町”が付いている場所には、かつて、お酒や醤油の醸造所などが集まっていました。
現在は2軒の酒蔵や奈良漬屋などがあり、その名残が分かります。
また、近年はクラフトビール醸造所や利き酒ができる奈良酒専門店、バーなども増え、お酒巡りが楽しいスポットに!
もちろん、お酒なしでもバーの雰囲気を楽しめるレトロ喫茶や、甘酒や酒粕スイーツを味わえる店などもあります。
この秋冬は、ほっとひと息つきながら、ならまち散策を楽しんでみませんか?
明治17 年にかつての「清水通り」沿いに創業した老舗。
全国的に知られる「春鹿」の酒銘の由来は、「春日神鹿」から。
食事と一緒にお酒を楽しむ「食連動」を意識した酒造りで、辛口甘口関係なく、後味のキレの良さが特徴です。
これは、しっかりと精白した米を用いた「南都諸白(もろはく)造り」など奈良の伝統的な技法によるもの。
一番人気の「超辛口」は、甘口が主流だった昭和60年代に生まれ、時代の流れを変えたロングセラー。
ほかにも、デザートの時にもおいしく飲める、低アルコールスパークリングの「ときめき」、冬限定の純米吟醸生酒「しぼりばな」など女性に人気の銘柄も多いです。
1 人500 円で5種類の銘柄を利き酒体験できます。
隣の今西家書院は、興福寺の大乗院家に仕えた福智院家(ふくちいんけ)の居宅で今西家へ譲られた重要文化財。
室町時代初期の書院造りの遺構を残す邸内をガイド付きで見学できます。
喫茶で春鹿を使用したオリジナルスイーツなどを楽しんで。
ほのかに漂うお酒の香りが特徴の「酒香茶」は、“健一自然農園”の大和茶と春鹿純米大吟醸酒粕が融合した旨茶。
「春鹿バームクーヘン」は“たっくんのバームクーヘン屋さん”とのコラボ。純米酒と酒粕が醸す風味豊かな逸品に。
書院庭を臨みながらの一服は格別です。
今西清兵衛商店
📍奈良市福智院町24-1
☎0742-23-2255
🕐10:00~17:00(利き酒の受付は10:00~16:30)
㊡お盆、年末年始、酒蔵まつり(9月)開催時など
🅿5台
今西家書院
📍奈良市福智院町24-3
☎0742-23-2256
🕐10:30~16:00(受付、L.O.15:30)
㊡月・火・水・お盆・年末年始・貸切時
料金:一般 400円、学生・70歳以上 350円(喫茶利用の場合は別途喫茶料金)
※未就学児無料
水源の春日山より流れる豊かな地下水から、かつての通称「清水通り」に面し、「清水(しみず)の八木酒造」と親しまれる明治10年創業の老舗。
廃業した他の酒蔵のみりんや焼酎造りの伝統も受け継ぎ、県内でも珍しい5種類の酒類製造免許を持っています。
そのため、代表銘柄の清酒「升平(しょうへい)」だけでなく、受賞歴がある人気の「花札シリーズ」の梅酒、大和野菜の1つやまと芋を使用の「みかけによらず」など、奈良で唯一の自治体とのコラボ焼酎も。
幅広いラインアップと個性派の酒が魅力で、無料の試飲体験もできます(2022年9月、現在コロナ禍のため酒蔵見学は休止中)。
奈良・西吉野産の完熟梅果肉を使用した花札シリーズの「とろとろの梅酒」は、「のんある」タイプも人気です。
最新トピックは、コーヒー豆にこだわり、砂糖が入っていない、アレンジ自在な「コーヒースピリッツ」の誕生。
新たなファンが増えそうな予感!
八木酒造
📍奈良市高畑町915
☎0742-26-2300
🕐8:30~17:00
㊡土・日・祝 年末年始
🅿5台
秘密めいた扉を開けると、そこには「サヴァン劇場」とでも言いたくなる空間が広がります。
一枚板のカウンター、庭、日本画家・上村松園の女性画、書院造りの欄間(らんま)など、バーテンダー歴10年の田中達さんがとことん考え抜いた演出。
その中でウイスキー、日本酒、クラフトビールまで、オールマイティーなラインアップを楽しませてくれます。2021年OPEN。
Bar Savant
📍奈良市椿井町30-3
☎0742-23-8568
🕐14:00~23:00(L.O.22:00)
㊡無休
🅿なし
バーカウンターのある「ネオクラシック」な喫茶店。地元の有名バー[LAMP BAR]とレシピを開発したメロンクリームソーダは、カクテルでも楽しめる大人な味わい。
日本最古の柑橘・大和橘を使うクラフトコーラ、奈良漬をタルタルにしたツナトーストなど、奈良らしさを意識したメニューも充実。2021年OPEN。
喫茶52
📍奈良市高畑町1122-12
☎0742-25-5528
🕐12:00~20:00(フードL.O.19:00、ドリンクL.O.19:30)
12:00~17:00(日のみ)
㊡月・月1回不定で火
🅿なし
Instagram @kissa.52
麹作りをはじめとする工程のほとんどを手造りにこだわり続ける蔵元、奈良豊澤酒造。
その創業時から使われてきた建物が、ホテル&レストランに変身。酒蔵として使われていた当時の風情をできるだけ残しつつ、客室は洗練されたリラックス空間に。
庭が見える縁側や檜のお風呂でゆったり過ごせる客室や、うぐいす張りの廊下や欄間に日本家屋の風情が感じられる客室など、全8室のそれぞれに異なった趣が。
豊澤酒造の酒粕を使った酒粕風呂、飲み放題が付く宿泊プランなど、日本酒ファンにはたまらないサービスも満載。
ならまちの一角に位置し、奈良公園などは徒歩圏内の好ロケーションで、ならまち散策の拠点にもぴったり。
酒蔵の土間をリノベーションしたカウンターメインのレストランでは、日本酒とのマリアージュが楽しめるフレンチを提供。
大和野菜など地元の食材を使い、旬を意識して3カ月ごとにメニューが入れ替わる。ランチ(11:30~L.O.14:00)4,400円(税込)~、ディナー(17:30~L.O.20:00)9,680円(税込)~。レストランのみの利用もOK。
NIPPONIA HOTEL奈良 ならまち
📍奈良市西城戸町4
☎0120-210-289
🕐IN15:00~20:00
OUT~12:00
料金:2名1室/1泊2食付
1名料金37,510円~(税サ込)
🅿8台
色付けに奈良県産大和ほうじ茶を使用した「ならまちエール」は、奈良市内で初めて誕生したクラフトビール。
ワイングラスで提供される秋冬に人気の「スパイスリッチエール」は、カルダモンなど4種類のスパイスが香り高く、ビールの印象が変わるはず。高アルコール度数の銘柄でも、驚くほど柔らかく軽い飲み口が特徴。ビール好き、苦手な人どちらも楽しめるので、カウンターでゆっくりと味わって。
なら麦酒ならまち醸造所
📍奈良市紀寺町956-2
☎0742-95-9700
🕐11:00~19:00(L.O.18:30)
土日は20:00閉店(L.O.19:30)
㊡不定休(年末年始休業)
🅿なし
奈良市内で栽培するホップをはじめ、地元素材にこだわったビール。代表的ブランド「あをによし」「そらみつ」はもちろん、奈良先端大学とのコラボで蔵付き酵母を使った「うねびやま」など、常時9 種類が2 階タップルームで味わえる。ソフトドリンクやモルトの搾りかすを活用した自家製ピザなど「飲めない人」もぜひ。
Golden Rabbit Beer
📍奈良市東寺林町30
☎0742-77-0944
🕐10:00~17:00(販売)
※タップルームの営業時間はFacebookや電話で確認を
㊡【販売】月・木 【タップルーム】月~木
🅿なし
※当記事は観光情報誌『ならり』vol.33からの抜粋です。掲載内容は2022年8月現在のものです。