奈良の銘菓図鑑
奈良を代表する定番和菓子から、もらって嬉しい手土産まで、思わず頬が緩んでしまう人気の品々をご紹介。
青丹(あおに)よし
青丹よしは、和三盆糖※と吉野葛、寒梅粉(かんばいこ)※を使って作られた短冊形の干菓子。
複数の和菓子店が趣向を凝らして創作。さらりとした口溶けと上品な甘さが特徴です。
江戸後期、中宮寺(奈良・斑鳩町)に滞在中の有栖川宮様に献上した折、天平以前からの奈良を表す枕詞にちなんで宮様により命名されました。
※和三盆糖=徳島や香川で作られる砂糖のこと。きめ細かで滑らかな口当たりの 上品な味わいが特徴。竹糖(ちくとう)という在来品種のサトウキビが原料。
※寒梅粉=もち米を蒸して餅生地とし、それを焼いて乾燥させてから粉末としたもの。打ち物や押し物菓子、豆菓子などの製菓原料として使用される。

三笠(みかさ)
奈良では、どら焼きのことを「三笠」(または三笠焼き)と呼びます。
1952(昭和27)年、上皇陛下立太子の橿原神宮奉告の折、「大きな三笠を」と宮内庁から要望を受けた「鶴屋徳満」が考案し献上。
大きなサイズの三笠が、奈良の名物のひとつになりました。
しっとりして香ばしい生地に、みずみずしい餡がよく合います。

和菓子の豆知識①
「和菓子と洋菓子の違い」
平安時代の『源氏物語』に登場する「椿餅(つばいもち)」は、古くからある和菓子として知られています。
一方で、現代の洋菓子の多くは、大正時代末期の西洋文化の広まりと同時に日本に入ってきました。
一般的に和菓子は米や小豆、和三盆などを使用するため糖質が高く、洋菓子は牛乳やバターなど動物性の材料が多いため、脂質が高くなる傾向があります。
和菓子をお土産に
野守(のもり)の鏡
白味噌ベースの餡を軽い触感の麩焼きで挟んだ最中
古代、雄略天皇が春日野で鷹狩の途中に逃げた鷹を、野守(野の番人)が春日野鷺沢(さぎさわ)の清水に映った影を見て連れ帰りました。
その清水が「野守の鏡」と命名されたという故事から名付けられています。
-購入できるお店-
春日ふたつ梅枝(ばいし)
遣唐使が伝えた唐菓子をアレンジあっさりした揚げ饅頭
春日大社の神饌の「二つ梅枝」がモチーフ。なめらかなこし餡を生地に詰めて揚げた「餡ドーナツ」風の饅頭です。
すり蜜状の砂糖がコーティングされていて、表面のシャリッとした食感がアクセントに。
-購入できるお店-
萬林堂(まんりんどう)
奈良市東包永町9
0742-22-6889

昔ながらの味と本わらび粉十割
二種類のおいしさを体験
先代庵主が再現した奈良のわらび餅は、鹿児島県産の甘藷(かんしょ)でんぷんを使用し、粘りと弾力、口どけの良さが特徴。
希少な本わらび粉を100%使用した「純本生わらび餅」は深い黒緑色で、わらび粉の自然な香りが鼻を抜けます。
-購入できるお店-
奈良こんふぇいと
砂糖や素材を選び抜いた
色とりどりの金平糖
1854(安政元)年創業の砂糖商が素材にこだわった金平糖。厳選した砂糖を、職人の熟練の技によって約2週間かけて作る金平糖は、甘さ控えめでカリッとした食感。奈良らしい図柄の専用箱も人気です。
-購入できるお店-
砂糖傳増尾商店(さとうでんますおしょうてん)
奈良市元興寺町10
0742-26-2307

和菓子の豆知識②
「和菓子の種類」
日本の歴史や季節感から生まれた伝統文化である和菓子には、様々な種類があります。水分量や日持ち(保存性)により、生菓子や半生菓子などに分類されますが、蒸す・焼く・揚げる・練るなどから、加工技術も多彩。
なかでも四季や二十四節気を美しく表現する生菓子の「練りきり」は、職人の手業を垣間見ることができます。

※店舗・商品情報は変更となる場合があります。最新の情報は、各店舗のウェブサイトやSNSをご確認ください
※当記事は観光情報誌『ならり』vol.38からの抜粋です。掲載内容は2025年2月現在のものです


































