神社仏閣の拝観マナー特集 お寺と神社はどう違う?やってはいけないことは?など一挙解説!

奈良には国宝や重要文化財に指定されている神社仏閣などが多く、「神仏の力が宿る」といわれるパワースポットも数多く存在します。ところで、お寺と神社では建物の造りや参拝方法に少しずつ違いがあることはご存知でしょうか?日々の感謝を込めてお参りする際は、他の参拝者を不快にさせないようマナーを守り、清々しい気分で神社仏閣巡りを楽しみましょう。

奈良の神社仏閣の歴史や特徴について

  • 写真提供:東大寺寺務所

奈良の神社仏閣は、平城京遷都の710年以降に建てられたものがほとんど。奈良には「東大寺」、「興福寺」、「春日大社」など世界遺産に登録されている神社仏閣が6つ、また国宝や重要文化財に指定されている建築や仏像も多数あります。他にも、縁結びや厄除けなどさまざまなご利益があるとされているパワースポットもあり、社寺巡りをするのにはうってつけの歴史都市です。

神社とお寺ではどう違う?

ところで、神社とお寺では何が違うのでしょうか?

まず、神社が信仰しているのは「神道」です。神道は日本古来の宗教であり、自然や人、物や土地といったあらゆる存在を神(「八百万(やおよろず)の神」)として崇拝するという概念です。神社は、入口に「鳥居」があり、くぐった先の「参道」の脇に身を清める「手水舎(てみずや/ちょうずや)」が設置され、さらに奥に進むと「本殿」があります。

一方で、お寺は仏の教えを学ぶ「仏教」を信仰しています。お寺は、お釈迦さまの教えを信仰・実践する僧侶が教義を学んだり、修行をしたりする場所です。お寺には、一般的に入口に「山門」があり、仏陀を象徴する「塔」と本尊を安置する「金堂」などを内部に配置する造りになっているのが特徴。

このように、神社とお寺では信仰の対象や建物の配置が違っています。

拝観のマナーについて

もともと社寺は、観光スポットではなく宗教施設です。他の人の参拝や巡礼の妨げにならないよう、マナーを守って参拝しましょう。例えば、ゴミを社寺に放置していく人がいますが、ゴミは各自で持ち帰りましょう。また、写真撮影の際は撮影禁止スポットでないことを確認し、周囲の人が映り込まないように気を付けてください。その他、拝観の順路にもルールがある場合など、社寺で定められている決まり事は守りましょう。

うっかり他の人の参拝・巡礼の妨げになっては、せっかくのあなたの旅行も台無しです。他の人の迷惑にならないよう、周りのことも配慮しながら観光しましょう。

神社仏閣でやってはいけないマナー

厳格な決まりはなく地域によっても様々なので諸説ありますが、他にもやってはいけないマナーがあります。

例えば、参拝時のお寺での柏手や、総門・山門の敷居を踏んで入ることは避けましょう。授与品(お守り)や御朱印は必ず参拝後にいただきましょう。また、露出の多い服は避けることや、拝殿に上がる際には帽子・サングラスなどは取ることなど、うっかりマナーを違反しないよう、正しい知識を覚えてみてくださいね。

神社の拝観方法

必ず決まりがあるものではありませんが、基本を知っていれば気持ちよく参拝ができます。リラックスした気持ちと、感謝の念をもって参拝にむかいましょう。

【1.境内に入り一礼】

鳥居は神域と人間が住む俗界をわける境界と考えられています。鳥居の内側は神聖な神域なので、鳥居の内側の左右どちらかに立ち一礼します。中央は神様の通り道なので、歩かないようにしましょう。

【2.手水舎の水で心身を清める】

参拝の前には手水舎で、「心身の浄化」のために手水を行いましょう。手順は、右手に柄杓(ひしゃく)を持って水をすくい、左手を流し、左手に柄杓を持ち替えて右手を流し、再度右手に柄杓を持ち替えてから、柄杓に口を直接つけないよう左手に水をためて口をすすぎ、最後に左手を流す、という流れです。

【3.参拝の基本は「二拝二拍手一拝」】

参拝時の拍手は、柏の葉のように両手の指を揃えて打ち合わせるため、一般には「柏手(かしわで)を打つ」ともいわれています。神前で打つ柏手も、神さまに誠の心を捧げ、ご加護をいただいていることに心から感謝して打ちましょう。神社によって拝礼の作法が異なる場合がありますが、一般的には、神前にて一礼、一歩前に出て鈴やドラを鳴らす、お賽銭を入れる、という、「二拝二拍手一拝」の作法となっています。

寺の拝観方法

お寺の場合、宗派によって拝観方法が異なる場合があります。ここでは一般的な拝観方法をお伝えしますが、心配な場合はお寺の方に直接お伺いしてみてください。

【1.山門の前で一礼する】

山門の前では、合掌とともに一礼しましょう。合掌とは、胸の前で手を合わせる作法のことで、仏様と一体になることを表しています。また、門の敷居を踏まないように注意しましょう。

【2.手水舎があれば手や口をすすぐ】

境内に入ったら手水舎で身を清めましょう。手順は神社と同じです。

【3.礼拝】

本堂についたら静かにお賽銭をいれます。
本堂の外から礼拝する場合は、胸の前で合掌し、一礼します。
本堂内の場合は正面からご本尊に向き合い、姿勢を正して合掌します。
いずれの場合も、仏様に顔を見せることを意識しましょう。

その他、焼香台がある場合は焼香を行います。宗派によって回数が異なるため、分からない場合は1回でも大丈夫です。

世界遺産「古都奈良の文化財」に登録されている神社仏閣

約1300年もの歴史を誇る古都・奈良はたくさんの神社仏閣をはじめとする歴史的建造物、文化財の宝庫です。そんな奈良県には「法隆寺地域の仏教建造物」、「古都奈良の文化財」、「紀伊山地の霊場と参詣道」と、実に3つのユネスコ世界文化遺産があります。ここでは1998年に「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録された6つの神社仏閣を紹介します。

東大寺
奈良の大仏さまで知られる奈良時代創建の代表的な寺院で、都である平城京に全国の国分寺の中心として建立されました。大仏殿は世界最大級の木造建造物です。
東大寺
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興福寺
南都七大寺の中で最も密接に奈良の街とつながりを持ちながら発展した寺。710(和銅3)年、藤原不比等が飛鳥から平城京へ前身の厩坂寺を移…
興福寺
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春日大社
奈良時代の初め、平城京鎮護のために茨城県鹿島の武甕槌命(たけみかづちのみこと)を御蓋山(みかさやま)の山頂にまつったのが起こりとされています。
春日大社
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元興寺
前身は6世紀末蘇我馬子によって開かれた法興寺(飛鳥寺/明日香村)でしたが、平城遷都に伴い現在地に新築移転され、名も元興寺と改めら…
元興寺
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薬師寺
今からおよそ1300年前の白鳳時代、天武天皇が皇后・鵜野讃良皇女(うののさららのひめみこ/のちの持統天皇)の病気平癒を祈って発願され、持統天皇が即位してから藤原京に造営されました。
薬師寺
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唐招提寺
聖武天皇の招きに応じ、苦難の末、日本にやってきた唐僧鑑真和上によって建立されました。鑑真和上は日本に着いてから5年間、戒壇院での授戒を制度として確立するために東大寺で過ごしましたが、東大寺を引退された後、故新田部親王(天武天皇の第七皇子)の旧宅を賜り、そこを「唐律招提」と称し、戒院として教学の場を営むことになりました。
唐招提寺
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世界遺産「古都奈良の文化財」は6つの神社仏閣+原始林と遺跡の計8つ!

実は、「古都奈良の文化財」として世界遺産リストに登録されたのは上記6つの神社仏閣だけではありません。特別史跡・特別天然記念物に指定されている「春日山原始林」、「平城宮跡」と、合計8つが登録されています。奈良市の世界遺産は建造物のみならず、自然と調和した歴史あるまち全体でひとつの価値があるのです。

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神社仏閣巡りにプラスしたい宿坊

神社仏閣の歴史や建物、文化財の魅力を堪能するには1日だけではもったいない!ぜひ宿泊して、たっぷり参拝&鑑賞を楽しんでください。そこで、さらに奈良の神社仏閣巡りを色濃くするには宿坊での宿泊もおすすめです。朝のお勤めや精進料理で心身を清めてはいかがでしょう。

大和國 登美山鼻高 霊山寺
奈良市の北西に位置する国宝本堂及び、 数々の重文や広大なバラ園等を有するお寺です。 客室は小人数から団体まで幅広いニーズに応える様々なタイプを展開。8種類の天然成分を使った薬湯のある浴場施設も利用できます。ご宿泊者は、国宝本堂にて朝の勤行にご参加いただけます。
大和國 登美山鼻高 霊山寺
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弘仁寺
小高い森の丘に佇むお寺です。食事は季節の素材を使用した精進料理。とは言えしっかりボリュームもあるのでご安心を。夜は薪で炊く五右衛門風呂でじっくり体を温めてください。新緑や紅葉、四季折々のロケーションの中で自分自身と向き合う時間を過ごすことができます。宿坊は不定休なので観光コースに入れたい際は事前にご確認を。
弘仁寺
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澄んだ朝の空気の中でご参拝や拝観を

早朝なら日中の混雑を避けて、気持ちよく参拝ができます。春日大社の御本社参拝所は、6時半〜(3月~10月、ほかは7時〜)参拝が可能です。また十輪院では毎朝(月曜日または月曜日が祝日の場合は翌火曜日が閉門日)8時半~9時の間、朝の勤行や体験作務を行っています。奈良公園や春日山原始林の早朝ウォーキングと合わせてもGOOD!身も心も整う時間を過ごしてみてください。

まとめ

いかがでしたか?奈良市では、歴史ある社寺の行事が1年を通じて人々の生活と深く結びついています。中には「春日若宮おん祭」「若草山焼き」「東大寺お水取り」など全国的に有名な行事も多くあります。また、秘仏公開、写経、御朱印授与なども見逃せません。ぜひ「祈りと癒しのまち」奈良にお越しいただき、心身ともに穏やかな気持ちになってください。

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