奈良公園にはなぜ鹿がいる?鹿との接し方や観光マナー、歴史背景をご紹介!

奈良の観光といえば、真っ先に鹿をイメージする人も多いのではないでしょうか。奈良公園には約1300頭の鹿が生活しており、地元の人々や観光客などにもどんどん近づくほど人懐こくキュートな存在。ところで、奈良公園にはなぜこんなにたくさんの鹿がいるのでしょうか。この記事では、奈良公園の鹿にまつわる基礎知識から、鹿との接し方、観光マナーについて紹介します。

奈良の鹿とは

「奈良の鹿」は1300年以上前から生息する野生動物。古来から、春日大社の神の使いである「神鹿(しんろく)」として大切に保護されてきました。現在は奈良公園を中心とした地域で日常的に見かけることができます。奈良の鹿は他の地域に生息する二ホンジカと同じ種ですが、古来からのDNAを保っており(https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20230209_n01/)、国の天然記念物にも指定されています。しかし、野生のため特に秋の雄鹿などは気性が荒く注意が必要。そのため、皆さんがケガをしないよう、ぜひこの記事で正しい知識を覚えてください。

白鹿にのってきた武甕槌命(たけみかづちのみこと)

全国に約3,000社あるという春日神社の総本社が、奈良公園にある春日大社です。その歴史は飛鳥から平城京へと都が移された奈良時代から始まります。当時、武甕槌命(たけみかづちのみこと)が鹿島神宮(茨城県)から奈良の地に移られる時、白鹿に乗ってこられたという伝承から、鹿は神様のお供であり神の使いとして大切に扱われるようになりました。以来、現在まで奈良公園の鹿は「神鹿」という名で手厚く保護されるとともに、人々から愛され続けています。

(写真提供=春日大社)

白鹿にのってきた武甕槌命(たけみかづちのみこと)

奈良公園の鹿はどんな生活をしているの?

奈良公園の鹿は野生動物であり、公園内に生えている植物(シバ、葉っぱ、ドングリなど)を主食としています。食性の内容により、奈良公園の平坦地に生活する「公園鹿」と「若草山の鹿」の2タイプに分けられますが、両タイプ共、芝を最も重要なエサとし、公園の中で自由に過ごしています。日の出の頃に「泊まり場」から「採食場」へ移動して過ごし、夕方前になると「泊まり場」へ戻って反すうしながら休息をとるような暮らしをしています。

鹿せんべい以外は絶対にNG!

鹿の大好物のおやつ、鹿せんべいは消化しやすいよう主に米ぬかで作られていますが、それ以外の食べ物(お菓子、パン、野菜、残飯など)を与えると事故につながるおそれがあります。絶対に鹿せんべい以外の食べ物を与えないでください。また人が手に持っているビニール袋や地図・パンフレットなどを食べてしまうことがあるので、鹿に近寄るときは手荷物を取られないよう注意しましょう。

鹿せんべい以外は絶対にNG!

鹿せんべいで上手にコミュニケーション

鹿せんべいの歴史は古く、江戸時代前期からすでに存在していたと言われています。鹿せんべいの原料は小麦粉と米ぬかで、鹿の健康を考えて砂糖などは一切使用されていません。一束10枚で200円で購入できる売り上げの一部は、鹿保護の費用に充てられています。

鹿せんべいを購入したらまずは紙の証紙を外します。そして、1枚ずつ、躊躇せず素早くあげましょう。鹿は目の前に鹿せんべいがあるのになかなかもらえないような場合、噛みついてきたりする危険性があるからです。また、鹿せんべいがなくなったら両手をパーのように開いて「もう持っていないよ」という意思表示を。そうすることで鹿たちも鹿せんべい争奪戦に終止符を打つことができます。小さなお子様はケガなどしないよう、保護者の方と一緒にトライしてみてくださいね。

自動販売機で買えるしかせんべい

鹿せんべいは、奈良公園の道端に出ている露店や、お土産屋さんでで購入できますが、夕方以降になると買うことができませんでした。そのため、2022年から夕方以降でも買えるように「I LOVE シカ自動販売機」が設置されました。自動販売機の設置場所は、春日大社内の鹿苑(ろくえん)、春日大社の駐車場にある休憩所の2箇所で、1箱に1束(10枚)入りで販売しています。

自動販売機で買えるしかせんべい

奈良公園の鹿と会えるスポットはここ!

広大な敷地面積を有する奈良公園や、周辺の観光スポットで鹿と出会えるおすすめ6スポットを紹介します。

東大寺 周辺
奈良時代に聖武天皇が仏教の考えと、国を守るために建立したる華厳宗大本山の寺院「東大寺」周辺。「奈良の大仏」で知られ日本の文化に多大な影響を与えてきた寺院でもあります。鹿であふれる参道の光景はなかなかの楽しさがあります。
東大寺 周辺
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興福寺
市街地に近いので、地元の方や観光客にも人気のスポットになっています。他に比べると鹿の数は比較的少なめですが、五重塔(現在修復中)や色鮮やかな木々などを背景にした鹿の絵は、奈良を代表するようなワンシーンです。近くの猿沢池は、興福寺五重塔と池の柳が水面に映える名勝地です。
興福寺
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春日大社
境内は古代から神域とされていた御蓋山(みかさやま)一帯に広がり、春日山原始林に守られるかのように鮮やかな朱塗りの社殿が鎮座しています。一緒に参拝に向かうかのように参道を歩く鹿、参道脇で過ごす鹿などを目にすることができます。
春日大社
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奈良国立博物館
仏教美術を中心に、国宝、重要文化財などを多数展示している博物館。奈良公園からも近いので鹿たちが群れをなしている光景を目にします。夏になると換気口に集まる「鹿だまり」現象が!?諸説ありますが、換気口の風ですずむようなシーンは夏の風物詩にもなっています。
奈良国立博物館
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飛火野(春日大社境内)
春日大社境内・飛火野は、春日大社表参道に面した広大な芝生ゾーンです。鹿が常に群れ遊び周っている姿を目にすることができます。ナチュラルホルンの音色に誘われて集まってくる「鹿寄せ」を実施するエリアにもなっています。
飛火野(春日大社境内)
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浮雲園地
奈良公園に9つある園地のひとつで、多くの鹿と出会うことができます。東大寺参道と春日野国際フォーラムの間にあり、参道沿いには土産屋が並ぶ、特に賑やかなエリアです。松の枝越しに北に東大寺南大門、東に若草山の陵線を望む古都の風情が一層高まる場所です。
浮雲園地
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鹿についてもっと知ることができる行事

鹿についてもっと知ることができる行事も多数開催されている奈良公園。いつもの観光だけではなく、鹿の生態をもっとよく学び知りたい方は季節ごとに行われているイベントをチェックしてみては。

鹿と人々の共生の中で受け継がれる伝統行事。古式 鹿の角きり/春日大社境内 鹿苑角きり場
春日大社境内 鹿苑角きり場(奈良公園内)で、鹿の角きりが実施されます。秋を彩る勇壮な古式「鹿の角きり」は、江戸時代から今日まで約340年にわたり、鹿と奈良の人々との共生の中で受け継がれている伝統行事です。
鹿と人々の共生の中で受け継がれる伝統行事。古式 鹿の角きり/春日大社境内 鹿苑角きり場
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子鹿の一般公開
毎年5月中旬頃から奈良公園では鹿の出産ラッシュ。通常、この時期のお母さん鹿は母性本能が強く、赤ちゃんを守ろうと人へ攻撃を与えることがあるため、人とのトラブルなどを未然に防ぐ目的で鹿苑(ろくえん)にて保護されています。
子鹿の一般公開
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春の鹿寄せ
春日大社境内飛火野では、春の鹿寄せを実施。ナチュラルホルンの音色に誘われて集まってくる、かわいらしい鹿を見ることができます。朝にだけ楽しめる、奈良ならではの光景をぜひご覧ください。見学無料です。
春の鹿寄せ
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なつの鹿寄せ
春日大社境内飛火野では、なつの鹿寄せを実施。ナチュラルホルンの音色に誘われて集まってくる、かわいらしい鹿を見ることができます。朝にだけ楽しめる、奈良ならではの光景をぜひご覧ください。見学無料です。
なつの鹿寄せ
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冬の鹿寄せ
奈良公園内、春日大社境内地の飛火野(とびひの)で、夏と冬の風物詩になっている「鹿寄せ」。ナチュラルホルンの音色によって、群れをなして呼び寄せられる鹿の姿を見ることができます。通常有料ですが、期間中は無料に。空気が澄んだ冬の朝、散歩がてらにいかがでしょうか?
冬の鹿寄せ
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100年先まで守る鹿~鹿苑~

  • 写真提供=一般財団法人奈良の鹿愛護会

「鹿苑」は「一般財団法人奈良の鹿愛護会」が運営する「奈良のシカ」の保護施設で、奈良公園の豊かな自然と、人と鹿との共生について考え守っていくための場です。

ここでは奈良公園に生息している鹿をはじめ、病気や怪我などさまざまな事情のある鹿が約300頭近く保護されています。

妊娠した鹿も保護の対象です。毎年約200頭の母鹿が安心して元気な子鹿を出産できるように、また子鹿の安全も考え、母鹿と一緒に行動できるようになる7月中旬ごろまで鹿苑で過ごします。

他にも鹿の生態や歴史について学べるパネル等の展示を見学することができます。

思い出にしたいお土産も鹿づくし!しかまろくんグッズの紹介

思い出にしたいお土産探しも、もちろん鹿グッズ!おすすめは、奈良市観光協会公式マスコットキャラクター「しかまろくん」関連グッズ。チャームポイントは、まろ眉と微笑み目、好きな食べ物はもちろん「鹿せんべい!」。クッキーやバームクーヘン、ファイルやキーホルダーなどのステーショナリーグッズなど、お土産に欠かせないアイテムが豊富に揃っています。奈良市内のお土産物屋さんで購入できますよ。

まとめ

奈良観光に欠かせない、愛くるしい鹿との出会い。気を付けることや鹿せんべいの上手なあげ方などをしっかりマスターすれば、ますます奈良の鹿がキュートな存在になるでしょう。奈良の神社仏閣巡りなどと合わせて楽しんでください。

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