奈良の世界遺産とは
1998年12月「古都奈良の文化財」として世界遺産リストに登録された施設・史跡・天然記念物をいいます。 「古都奈良の文化財」は8つの資産で構成されています。
国宝建造物があり、敷地が史跡に指定されている資産
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東大寺
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興福寺
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春日大社
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元興寺
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薬師寺
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唐招提寺
特別史跡・特別天然記念物に指定されている資産
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平城宮跡
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春日山原始林
奈良市はまち全体が世界遺産
「古都奈良の文化財」は単一施設での世界遺産登録ではなく、8つの資産全体がひとつの文化遺産として登録されていることが特徴です。奈良市の世界遺産は、まち全体でひとつの価値を物語っています。
遺産保護の取組も評価された世界遺産登録
奈良市では世界遺産への登録以前から都市計画にルールが定められ、奈良市民は自らの手で歴史遺産を守ってきました。
世界遺産登録をきっかけに保護に取り組むのではなく、市の自主的な取り組みがあったことは誇るべきことです。
なぜ「古都 奈良の文化財」が世界遺産に選ばれたのか
奈良の遺産が世界遺産となったのは文化遺産の6つの価値基準のうち、4つに当てはまったためです。
国際交流から生まれた芸術や技術の発展を示している
奈良時代には中国や朝鮮との交流によって天平文化が花開きました。 建築様式、都の建設、漢字、仏教という新たな考え方、服装など全て中国や朝鮮から学びながら発展しました。 遥かシルクロードの向こうであるローマやペルシャの 影響も感じることができます。
文化や文明の重要な証拠を示している
現在の奈良市は古代の日本の首都でした。 つまり、奈良市は国の中心として日本全体の文化や文明をリードする存在でした。 平城宮跡では奈良時代の都の都市計画の 様子を見て取ることができ、首都の繁栄の証拠が残されています。
人類の歴史の上で重要な時代の遺産が残っている
奈良時代は、日本の国家や文化の基礎が整った 重要な時代でした。 聖武天皇は仏教を通じて国造りを行うべく、日本全国に国分寺を配しました。その中心が今も残る東大寺です。東大寺大仏には国をひとつにまとめたいという願いがこめられています。 奈良市の遺産は国としての「日本の始まり」を物語っています。
信仰や伝統などと密接に関連している
世界中の信仰や伝統には普遍的価値があります。 奈良市の遺産は神道や仏教など日本人の信仰と密接な関係があります。 神社仏閣などの建造物はもちろん、数100年続く伝統行事を受け継ぐ場所として欠かせないものが奈良市の 世界遺産なのです。
世界遺産を保護する奈良市の取り組み
世界遺産への推薦に必須である緩衝地帯(バッファゾーン)だけでなく、奈良市では歴史的環境調整区域(ハーモニーゾーン)を独自に定め、環境保全と都市開発との調和を図る取り組みを行ってきました。歴史的環境調整区域(ハーモニーゾーン)は各緩衝地帯の間に設けられ、広域の景観を守っています。
- 緩衝地帯(バッファゾーン)
- 歴史的環境調整区域(ハーモニーゾーン)
- 遺産
平城宮跡
唐招提寺
薬師寺
東大寺
興福寺
元興寺
春日大社
春日山
原始林
他都市の世界遺産との違い
東アジアの遺産の中でも際立つ再現性と自然との調和
日本を含む東アジアの古代の都のうち、宮殿の遺跡と都に計画的に建設された木造建築群によって当時の姿を伝えている例は、他にありません。 建造物群と自然が一体となり文化的景観を作っていることも大きな特徴です。
平安京(京都市)よりも当時の様子を伝える平城京(奈良市)
古代の平安宮の跡は、都市化が進みあまり残っていません。当時の平安京の様子を伝えるものは、戦乱や都市の変遷とともに多くが失われてしまいました。
同じように古都とよばれる奈良と京都ですが、その性質はけっして同じではないのです。